ニュースレター #24

―コロナで見えた働き方改革―
「NTTの在宅型」と「ホンダの出社型」

NTTとホンダ、正反対の選択はどうなるか?

NTTグループが「原則在宅勤務」という大胆な方針を打ち出しました。

部署制限なし(すべての社員対象)、居住地制限もなし、会社へのテレワーク申告もなしと、出社する場合は「出張扱い」で飛行機利用あり、宿泊ありとの制度を取り入れる模様だ。
澤田純社長は2021年9月の記者会見で、「ワーク・イン・ライフ」を実現していくと強調、ライフの場である「家」があくまでも柱、「家の暮らしの中で仕事をする」という発想のようだ。なお、NTTグループはこれまでも徹底して「働く人、一人ひとりが活き活きと働くため」の制度や教育など「人への投資」はずば抜けているといわれている。

一方、ホンダ(本田技研工業)は真逆の路線をいち早く選択しました。
2022年4月、国内営業部門の従業員向けに「本田として本来目指していた働き方を通じて変革期を勝ち抜くために、「三現主義で物事の本質を考え、さらなる進化を生み出すための出社・対面を基本にした働き方にシフトしていく。」とのメールを送付し、5月上旬には国内全社を対象に「原則出社」とする方針を通達したと報じられています。(なお、育児や介護などで必要な場合は引き続き在宅勤務を活用できるとしている。)
三現主義⇒現場を何よりも大切にし、現場で現物を観察し、現実を認識したうえで問題解決を図るという創業者、本田宗一郎氏の教えといわれている…スーパー・カブ物語)

「出社=昭和」、「在宅=令和」…なのか?

出社」=昭和の働きかた、「在宅」=令和の働きかたという見方があるが、コロナ禍でTV番組は、コメンテーターをリモート出演させ、MCも別室からオンエアしていた当時、在宅勤務には変化への期待と不安があったと思われるが、どちらが良い悪いと断言することは困難な問題である。           
例えば、今では諸悪の根源のように言われる「終身雇用」=長期雇用は、1955年から1年以上にわたって日本企業をフィールド調査した経営学者ジェームズ・C・アベグレンが、日本企業を支える経営の“三種の神器”の一つとしてあげたものと言われています。
(Lifetime Commitment⇒「あなたの人生に関わらせてくださいね」という言葉)

経営者の経営哲学-求められる「つながりへの投資」-

“半径3メートルの世界”  気象予報士 河合薫氏コラムより一部抜粋し編集

河合薫氏はいう、「出社」であれ「在宅」であれ、働いているのは「人」であり、「私」たちは、フェース・トゥ・フェースでコミュニケーションをとり、他者とつながることで生きてきました。
フェース・トゥ・フェースとリモートでは、情報量が圧倒的に違います。
フェース・トウ・フェースは、ただ単に、相手の顔が見えるだけでなく、声のトーン、相手の匂い、その場の空気感、周りの状況等、五感をフル稼働して様々な情報の交換が行われているため、言葉の意味も変わります。しかし、リモートだと「言葉」の情報がものすごい比重を占めるようになります。それは言葉が持つ力の肥大化であり、言葉によって傷ついたりする人も増えるようになってしまうリスクがあります。さらに、フェース・トゥ・フェースだと、たわいもない言葉が相手の表情やその場の空気等の状況により温かさが増し、相手のちょっとしたやりとりに救われたり、自分を取り囲む「半径3メートルの世界」の人との関わりがあるからこそ、勇気が出たり「もうひと踏ん張りしよう」とモチベーションが高まったり、小さな幸せを感じ取ることが可能です。
そういった顔の見える関係性をリモートで作るのは至難の業で、頭でつながったと感じても、心はつながったと感じ取ることができずに、孤独感につながっていきます。実際、リモート営業が一般化したことで、孤独を感じる営業職の人が増えたとの調査結果もあります。名刺交換したり、握手したり、一緒にコーヒーを飲んだりすることがなくなり、相手に感情移入ができなく、上手くいかない営業活動をねぎらってくれる同僚もいないため、人間らしさの極みだった営業という仕事が孤独な業務になり、精神的疲労を訴える人が増えたとされています。
これからの会社に必要なのは「つながりへの投資」です。在宅を基本とするなら、なおさらのこと社員が「孤独」にならないための知恵を最大限に生かす必要があります。
また、気が乗らない日でも会社に行けば、仕事スイッチがオンになり、親のことや子供のことなど、家庭の問題を忘れる貴重な「逃げ場」にもなります。そうした「場=会社」が持つ力も大切にして欲しいと思います。