正月特集「初 詣」…編
全社員で初詣に行くことは、問題ないか?
Q 当社は中小企業で、仕事始めの日に部署ごとに社員が初詣に行く習慣があります。今年から社長の発案で「業務時間内でいいから、全社員が揃って初詣に行こう」ということになりました。業務時間内に全社で初詣をすることは問題がないのでしょうか?
「信教の自由」の点で、問題が発生することも
A 一年の始まりに社員全員で初詣をし、社業の発展や安全を祈願することで、会社への帰属意識や一体感を高めて事業の発展等につなげたいという気持ちは日本型雇用慣行ではよく見られる光景です。とはいえ、会社が所定労働時間内に社員全員に対して初詣の参加を求めることは、業務命令にあたり、労働基準法など法律との兼ね合いが必要になり、社員の人権や信教の自由を侵害するような内容は適切ではありません。
【労働基準法第3条】では、「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取り扱いをしてはならない」とされています。また、
【憲法第20条2項】では、「何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない」としています。
したがって、初詣は神社といった宗教的施設への参拝になるため、参加を希望しない社員を強制的に参加させることは「信教の自由」を定めた憲法第20条2項に違反することになります。また、所定労働時間内に参加を命じた場合には、業務命令としてその内容が妥当であるか否かの正当性も問われることになります。そこで、初詣の持つ宗教的側面を考慮すると、社員全員に対して業務命令として初詣に行くのではなく、参加・不参加の自由を社員に与えた上で、希望者のみ初詣に参加するという形をとることが賢明です。なお、不参加を表明した社員に対して不利益な取り扱いをしないよう注意しなくてはなりません。何らかの理由で初詣に参加しない社員を欠勤扱いとして賃金を支払わないことは、労働基準法第3条に抵触することになりますので注意してください。
以上

