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気になるワークルール教室 #15

―「スキマバイト」活用の留意点―

「スキマバイト」(短時間・単発での就労マッチングサービス)は人手不解消の有効な手段ですが、通常のアルバイト雇用や派遣と同様に労務管理や法令遵守に注意が必要です。

1. 契約形態の明確化

*雇用契約か、業務委託契約かを区別する必要があります。

*「スキマバイト」は実質的に雇用契約となるケースなので、労働条件通知書交付が必要。

2. 労働条件の明示義務

*労働時間・休憩・賃金・勤務地・業務内容、賃金支払い方法(当日払い・月末払いなど)

*アプリ内で条件が提示されていても、企業側が責任を持って明確化する必要があります。

3. 労働時間・割増賃金の管理

*複数の「スキマバイト」で働く人は労働時間の通算管理が難しいですが、同一事業主内では労働時間を合算して管理する。

*1日8時間超や週40時間超の労働時間には時間外割増賃金が必要。

*短時間勤務でも深夜割増や休日割増の対象になり得ます。

4. 安全衛生・労災対応

*短時間でも従業員として扱う以上労災保険の適用対象。

*就業前に最低限の安全衛生教育や注意喚起を行うことが必要。

*業務雑賀発生時には企業に報告義務があります。

5. 個人情報・コンプライアンス

*マッチングサービスを通じて得た応募者の個人情報の取り扱いには個人情報保護法が適用。(雇用管理以外の目的で利用してはいけない)

*SNSなどでの不適切な業務体験の拡散リスクもあるため職場ルールを説明

6. 雇用保険・社会保険の取り扱い

*週20時間以上かつ31日以上雇用見込みの場合、雇用保険の加入義務あり。

*「単発」であっても繰り返し同じ人を雇う場合は見込みありと判断されることも

*健康保険・厚生年金は原則月20時間以上かつ要件を満たす場合に適用

7. 契約終了・トラブル防止

*単発ゆえに「当日キャンセル」「無断欠勤」などのトラブルが発生しやすい。

*キャンセル規定や連絡方法を明文化し、労働契約上の義務違反に備える。

 

 

気になるワークルール教室 #14

―これってハラスメント(モラハラ)?―

Zoomでの商談での“顔出し義務”はモラハラか?

Q:当社はコロナ禍を機に、リモートワークでの在宅勤務を可能な職場としています。
 先日、部下社員のXさんと上司である私が、お客様とZoomでのオンライン・ミーティングをすることにしましたが、部下のXさんは“顔出しをしたくない!”と言います。こうしたケースでは、就業規則を変えることで顔出しを義務化させることは可能でしょうか?

A:就業規則の変更までしなくても、顧客とのオンライン・ミーテイングにおいて、カメラをオンするよう命じることは可能です。
つまり、会社は従業員に対し、どのような方法で業務を行うか指示することができ、従業員は雇用契約に基づき、会社の指示に従って労務を提供する義務があります。
したがって、在宅勤務におけるオンライン・ミーテイングの方法についても、原則として会社が自由に決めることができます。

リモートハラスメント(リモハラ)とは?

 コロナ禍を経てリモートワークが浸透する中「リモートハラスメント(リモハラ)という言葉が生まれました。リモハラとは、リモートワーク中になされる不快な言動を指し、例えば、⓵勤務時間中、常にカメラを接続させること、②上下スーツで仕事をするよう求めること、③バーチャル背景を禁じ、リアルの背景を映すよう求めることや、今回問題となっている「顔出しを必須にしたり、全身を映すよう求めたりすること」は、働く人が不快に感じやすく、リモハラと言われやすものの一つですので注意が必要です。

不快に感じるもの全てがハラスメントになる訳ではありません!

会社側の指示に業務上の必要性が認められ、社会通念上相当な範囲であれば、「違法なハラスメント」ではなく、会社の裁量として認められます。事務的な連絡のみであれば、音声のみでやり取りしたり、メールなどで済ませたりすることで足りる可能性もありますが、社外のお客様とのオンライン・ミーティングであれば顔を見ながら話す業務上の必要性は高いと考えられます。また、業務時間中に顔や服装を他人に見られることは通常受け入れるべきことなので、社外のお客様とのオンライン・ミーテイングでカメラオンを求めることは、社会通念上相当な範囲の指示であると考えられます。                                

以上

 

気になる ワークルール教室 #13

“新人の歓迎会に全員参加するように!”…はパワハラか?

―これってパワハラになるの?―

Q: 新人が入社することになったので、部長からメンバーに対して「全員で歓迎したいから、夜の歓迎会には必ず参加するように」…と言われました。

・・・これってパワハラに当たりませんか?

A1:パワハラと判断される可能性が高いケース

  例えば、⓵歓迎会への参加を伝える際、大声で威圧的に怒鳴る、⓶部下が参加できない旨伝えているにもかかわらず、不参加の理由をしつこく尋ね不参加の場合には不当な不利益をちらつかせる、⓷不参加を伝えた部下に対し「協調性に欠けるクズだ」などと人格を否定する言動をする。…この場合は、相当性に欠けるものとして違法なパワハラと判断される可能性が高いです。歓迎会の参加を巡るパワハラでは、「不参加を理由に職場内で孤立させ」職場内いじめに発展したり、不参加の理由をしつこく尋ねプライバシーに踏み込むケースが起こりやすいので注意。

A2:パワハラと認められない可能性が高いケース

  例えば、⓵会社が歓迎会を社内の親睦を深め、円滑なコミュニケーションのために必要なイベントと位置づけ、歓迎会の中で業務にかかわる指導も計画しているような事情がある、⓶従業員全員に必ず参加を求めている、⓷休んだ場合欠勤扱いとされ人事評価に影響がある、⓸歓迎会の費用は会社が負担し、場所も会社が指定、移動には会社が営業車を手配する。…この場合は、会社は従業員に対して業務として歓迎会に参加するよう求めることができます。勤務時間外に開催する場合であっても業務として参加を強制することは可能です。ただし、勤務時間外の場合には残業代の支払いが必要になります。

パワハラとは、『職場において行われる、⓵優越的な関係を背景とした言動であって、⓶業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、⓷労働者の就業関係が害されるものであり、⓵から⓷の全ての要件を満たすもの』…とされています。

 

  • 歓迎会を含む会社の懇親会の多くは、現実的に「労働時間」にあたらない任意の参加として扱われていると思われます。たとえ上司が個人的に「必ず参加して欲しい」と言って回り、不文律として「全員参加するもの」とされていて断りにくい雰囲気があったりすることも多いのではないかと思われますので、とくに、⓶の業務上の必要性や相当性については、問題となった言動の目的、経緯、状況、態様、頻度、継続性、言われた側の属性や心身の状況、行為者の関係性などを総合的に考慮して判断されますので注意が必要です。

 

気になるワ―クルール教室 #12

―「パワハラでうつ病に、労災は認められる?」―

1,労災認定されるパワハラの要件

厚労省では、パワハラについて次の3つの要件を満たすものと定義しています。

  1. 優越的な関係を背景とした言動であること
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものであること
  3. 労働者の就業環境が害されるものであること

【パワハラの6類型】

*身体的な攻撃 *過大な要求 *人間関係からの切り離し
*精神的な攻撃 *過小な要求 *個の侵害

2,パワハラの場合に適用される労災認定基準

労災認定を受けて労災保険を受給するためには認定要件を満たしていなければなりません。

【パワハラに関する主な認定要件】

*精神障害を発症している
*発症前おおむね6ヶ月間に業務よる強い心理的負荷が認められる
*職場以外の心理的負荷によって発症したものではない

3,パワハラで労災認定されるための手順

職場でパワハラを受け、精神障害を発症して「療養補償給付」を請求するケースについての労災認定までの手順です。

❶書類準備・作成
療養補償給付を請求するには「療養補償給付たる療養の給付請求書」が必要です。
労働保険指定医療機関で受診した場合は5号様式、指定医療機関以外で受診した場合は7号様式を準備して記入します。
❷医師の証明をもらう (労働保険指定医療機関以外で療養した場合)
労働保険指定医療機関以外で療養した場合には、医師からの証明が必要です。
病院にて労災申請する旨を伝えてください。
❸書類の提出
5号様式の場合は病院に提出し、7号様式の場合は労働基準監督署に提出して完了となります。事業主証明欄に会社が応じない場合は、空欄でも申請は受理されます。

気になるワークルール教室 #11

―「育休明けの時短勤務社員」 編―

子育て中の「時短勤務社員」を営業から配置転換したい

Q, 育休から復帰し、時短勤務で働いている社員がいます。子供がまだ小さいということもあり、早退も多いのが現状です。現在の部署は営業で外回りも多いため、職場への負荷、その社員への負担を考慮し、事務系の部署に異動を提案したのですが断られました。子育て中の社員を異動させるのはマタハラにあたりますか?
A, 現状、その社員にとって「外回りが厳しい」という状況であれば、打診や相談をすることは問題ありません。一方、「お前は使えないから異動だ、「時短の社員は異動だ」という感覚であれば、「不利益取り扱い」といわれ、マタニティハラスメントとされてもおかしくありません。
男女雇用機会均等法、育児・介護休業法では、妊娠・出産・育児休業・時短など子育てに関わる制度を使用している人に対して不利益な取り扱いをしてはならないと定められています。

<アドバイス>
これから、ますます人手不足が加速する状況下で、いつまでも「長い時間働ける人じゃないと営業はさせられない」という価値観を持ち続けていてはいけません。労働時間が短くても、集中して成果を上げる人もたくさんいます。本当に「時間」だけで評価するのは正解なのか、議論をする必要があると思います。実際にある会社では、「いくら売ったか」という総額ではなく、「1時間当たりに売った金額が多い人」を評価しているケースもあります。大切なことは、育休中から一人一人の社員とキャリアに関するコミュニケーションをとり、意向を把握することです。今後のキャリアをどうしていきたいかは人それぞれ考え方が違います。「子供を預けるのでバリバリ働きたい」「早く帰りたい」「管理職を続けたい」「管理職を降りたい」…など、もちろん一律ではありません。ダイバーシティが重視される時代だからこそ、多様な働き方があっていいものと思います。

気になるワークルール教室 #10

-「新入社員への労務管理」 編-

新入社員が入社してきてから1ヶ月。

Q, 「新入は30分前に出社せよ!」…どこが問題?
新入社員は始業時刻の30分前に出社して事務室の机を拭いたり、備品の管理をしたりする、こうした「習慣」が定着している会社は少なくないのではないでしょうか。
A, 「黙示の指示」は労働時間に該当
 先輩社員として「我々の時代は全員30分前には会社に来ていたよ」という思いがあるかもしれませんが、新人に対して「始業時刻よりも早く出社しろ」というのは避けた方が良いでしょう。違法ではありませんが、業務命令にあたるため残業代を払う必要が生じます。また、始業時刻前に朝礼を実施する場合、その出席が義務付けられている場合は、労働時間として扱われます。さらに会社指定の制服があり、着用を義務付けられている場合も同様で、着替えの時間も労働時間として扱われます。
Q, 残業代は5分単位で支給!…これって違法?
A, 賃金の全額払いに抵触し違法
 労働基準法第24条では「賃金は全額を支払わなければならない」と定められています。
賃金を1分単位で支給しなければならないと規定されているわけではありませんが、1分でも切り捨ててしまうのは全額払いの原則に反するため違法となります。なお、1ヶ月の残業時間の合計時間に対しては30分未満は切り捨て、30分以上は切り上げることは許容されています。

気になるワークルール教室 #9

「タバコ・メイク・スマホ休憩時間」  編

日常的な私的行為への不満

Cさん⇒職場の先輩は、いつも就業時間中に職場を離れ喫煙室にタバコを吸いに行くんですが、私はお昼に1時間の休憩時間しかないのにズルクないですか?

Mさん⇒職場でパンを食べていたら同僚のSさんに注意されました。Sさんはよくメイク直しをしていますが、メイク直しはいいのに間食はダメなのでしょうか?…

そもそも就業時間中の私的行為はいいの?

Q、就業時間中にタバコを吸うことやメーク直しなどの私的行為は認められていますか?

A、従業員は会社と労働契約を結んでいて従業員は自らの労働力を提供する義務が発生し、就業時間中は会社の業務命令や指示に従って誠実に業務に勤めなければならないのです。トイレといった生理的な現象などの必要不可欠なことを除き、基本的には休憩時間以外の私的行為は認められず業務に専念するのが原則です。

<アドバイス>すべての私的行為を禁止にすると、息抜きができず従業員の生産性が下がり、単に働きづらい職場になる可能性もあります。業務に関係のない雑談がビジネスの糸口を見つけたり、メンバー同士の信頼関係を築いて風通しのいい職場作っていると考える人もいますので、バランスや公平性を保ちながらどこまでをよしとするのかを決めることが求められます。

休憩時間の賃金を控除することはできるの?

Q、私的行為をしている時間を休憩時間とし会社が賃金を支払わないことはできるのでしょうか?

A、休憩時間とは労働者が権利として労働から完全に離れることを保証されている時間をいいます。そのため、休憩時間は労働者が自由に利用できる時間でなければなりません。実際に作業をしていない時間であっても、会社から指示があれば即時に業務に就かなければならない状況であれば、手待ち時間となり休憩時間として扱うことはできません。タバコを吸いに行く時間やメイク直し等の時間の場合、会社の指示があればすぐに職場に戻り業務に取り組まなければならないため、会社が勝手に休憩時間として賃金を控除することは難しいと思われます。

<アドバイス>私的行為に対して明確な基準を作りルール化するという方法もあります。例えば、業務時間中のタバコを吸いに行く回数は1日3回までとする。タバコを吸わない人には一定の手当を支給する、通常の休憩時間とは別に休憩時間を付与するなど…です。

気になるワークルール教室 #8

正月特集「初 詣」…編

全社員で初詣に行くことは、問題ないか?

Q 当社は中小企業で、仕事始めの日に部署ごとに社員が初詣に行く習慣があります。今年から社長の発案で「業務時間内でいいから、全社員が揃って初詣に行こう」ということになりました。業務時間内に全社で初詣をすることは問題がないのでしょうか?

「信教の自由」の点で、問題が発生することも

A 一年の始まりに社員全員で初詣をし、社業の発展や安全を祈願することで、会社への帰属意識や一体感を高めて事業の発展等につなげたいという気持ちは日本型雇用慣行ではよく見られる光景です。とはいえ、会社が所定労働時間内に社員全員に対して初詣の参加を求めることは、業務命令にあたり、労働基準法など法律との兼ね合いが必要になり、社員の人権や信教の自由を侵害するような内容は適切ではありません。
【労働基準法第3条】では、「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取り扱いをしてはならない」とされています。また、
【憲法第20条2項】では、「何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない」としています。
したがって、初詣は神社といった宗教的施設への参拝になるため、参加を希望しない社員を強制的に参加させることは「信教の自由」を定めた憲法第20条2項に違反することになります。また、所定労働時間内に参加を命じた場合には、業務命令としてその内容が妥当であるか否かの正当性も問われることになります。そこで、初詣の持つ宗教的側面を考慮すると、社員全員に対して業務命令として初詣に行くのではなく、参加・不参加の自由を社員に与えた上で、希望者のみ初詣に参加するという形をとることが賢明です。なお、不参加を表明した社員に対して不利益な取り扱いをしないよう注意しなくてはなりません。何らかの理由で初詣に参加しない社員を欠勤扱いとして賃金を支払わないことは、労働基準法第3条に抵触することになりますので注意してください。

以上

気になるワーク・ルール教室 #7

「産後パパ育休」編

産後パパ育休の就業日、年休の取得は可能か

Q 出生時育児休業(パパ育休)の取得第1号です。休業期間中にも少し就業してもらうことで合意しているのですが、合意した就業日に就業できなくなった場合にどうすればよいかと尋ねられました。年休を取得してもらうことで対応することは可能でしょうか?

労働日扱いとなるので対象

A 出生時育児休業は、子の出生から8週間以内に4週間まで取得できます。出生時育休の期間内でも、労使協定を締結したときは、労働者の同意を得て就業させることが可能になります。ただし、上限があり、就業日の合計日数について同期間の所定労働日数の2分の1以下とすることや、就業日における労働時間の合計を同期間の所定労働時間の合計の2分の1以下とすることといった要件は満たさなければなり
ません。同意後も出生時育休の開始日の前日までは、就業日の変更や撤回ができます。開始日以降は、配偶者の疾病などで、子の養育が困難になった場合など特別な事情が必要です。撤回事由に該当しなかった場合も、年次有給休暇は取得可能です。出生時育児中の就業日であっても労働日であるためです。

以上

気になるワーク・ルール教室 #6

「割増賃金」編

割増賃金が必要か?… 時間外に定期健診

Q 定期健康診断について、当社では、労働者が希望日を申し出て受けることしており、所定労働時間中の受診を認め賃金は控除していません。午前中に受信し午後は通常勤務したものの、所定終業時間を過ぎ残業が発生した労働者がいますが、割増賃金の支払いは必要ですか?

定期健診と特殊検診では取り扱いが異なります

A 健康診断は大きく分けて一般健康診断と特殊健康診断に分かれています。有害業務従事者に行う特殊検診は、所定労働時間中の実施が原則で、その時間は労働時間と解されますので、時間外労働に該当する際は割増賃金の支払いが必要です。
一方、定期検診を含む一般検診は、業務遂行と関連して行うものではないため、受診時間の賃金は当然には事業者の負担すべきものではなく、労使で協議して定めるべきとしています。ただし、受診時間の賃金は事業者が支払うことが望ましいとするほか、できるだけ便宜を図り、所定労働時間内に行う方が望ましいとの考えを示しています。
したがって、お尋ねの定期検診は、特殊検診と違い労働時間とならないため、定期検診後の実労働時間が法定労働時間を超えない限り、割増賃金の支払いまでは求められていないといえます。
なお、労使協議としているので、支払い方を再確認するとよりベターです。

以上